社会の窓際から

暇を謳歌したい。

「働いていない=違憲」というドグマ

 

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 暇を持て余し、本棚にある本を惰性でペラペラパラパラとめくっていると、以下のような文章が目に留まった。

 

渡邊 私の夢の設定というのは決まっていて、「これ以上やったら鼻血が出て倒れる」というところの、もうちょっと上なんです。(中略)ギリギリがんばって、死ぬほどがんばったら、そのもうちょっと先にあるんじゃないかなと思った。

村上 それはなぜですか。

渡邊 無理をすれば、それは無理じゃなくなるからです。無理を一週間続ければ、無理じゃなくなるんです。(中略)無理をして自分自身を追い込むことで、結果的に成長できる。

村上 自分自身の可能性も広がりますよね。

渡邊 そうです。(略)

村上 でも自分の限界点というのは経験からわかってくるもので、二十二歳の時に、「ギリギリの少し上に設定する」と考えたのはすごいことですよ。

 

カンブリア宮殿 村上龍×経済人1 挑戦だけがチャンスをつくる』(日経ビジネス人文庫)より引用

 

 そして、村上龍ワタミ過労自殺について言及している動画で、上記の件に触れていることを思い出した。

 

 僕は村上龍さんが好きなのだけれど、経済人としての渡邊美樹氏との対談とS級ブラック企業創業者としての渡邊美樹大先生について話す動画では、贔屓目に見ても、明らかに村上龍さんの言葉や態度に差異があるように感じられる。

 

 村上龍さんは、金に目がくらみ、番組のため、そして本の売り上げのためにうっかりちゃっかり妥協して、渡邊美樹大先生に同調してしまい、ワタミ過労自殺が起こってしまった後、ブラック企業のトップにかつて自分が同調していた事実をもみ消そうと、動画で言い訳を嘯いているだけなのだろうか。

 

 それとも、動画で仰っているように、本当に理解不能なドグマに言葉を失い、呆然自失とし、「僕には無理ですねぇ」と発言した後、そういう考えはただただ閉塞感を生むだけですよね、とりあえずキューバ音楽でも聞いて踊り狂いましょう、みたいなことを言って厳然と反駁したものの、中堅スポンサーになり得る渡邊美樹大先生に怖気づいた出版社の権謀術数により、そのような趣旨の発言が書籍内で書き換えられただけなのだろうか。

 

 その真相はよくわからないが、そんなことはどうでもよくて、渡邊美樹大先生は同対談で聞き捨てならない発言をしている。

 

村上 渡邊さんは「ニート憲法違反だ」っておっしゃっていますよね。

渡邊 その通りです。労働は国民に与えられた義務ですから。その義務を果たしていないんですから、やはり憲法違反でしょう。

 

同書より引用

 

 自称先進国日本には未だにカルト教団労働教のドグマが深く根付いていて、とかいうおれ自身もそのドグマから完全には抜け出せておらず、その洗脳からどうにか自由になろうとピザポテトでも食べながら家でゆっくりしているのだけれど、「働いていない=憲法違反」とする人間はカルト教団労働教の中でも急進派であって、急進派の彼らは働いていない人間を違憲な存在、非国民とみなし、「とにかく働け、カス野郎」と無差別に叩きまくる。

 

 彼らは思考が停止しているため、憲法というものがそもそも何なのかを考えない。

 そして、思考が停止しているため、この世界は諸行無常であり、だからこそ、何らかの理由で働けなくなる時が自分にも必ず来るということを想像できない。

 さらに、思考が停止しているため、労働を強制するような風潮によって心身を病み、自ら命を絶つ人たちがいることを想像できない。とまぁ、この点に関しては、彼らは働かない人間は無用で、死んでもらった方がいいと考えているだろうから、想像できているのかもしれない。

 

 憲法というのは国民を縛るものではなく、国家を縛るものだ。憲法は国家が好き勝手に法律を作らないように、「法律を作るのはいいけど、この範囲で作れよな、バーロー」とコナン風に法律が作れる範囲を制限するものなのである。我々は無知で煩悩塗れの凡夫であるかもしれないが、憲法を盾に労働を強制してくる労働教の屁理屈だけには決して騙されてはいけないのであーる。

 

 幸運なことに、我が自称先進国日本には勤労の義務というものが憲法で定められているのだから、カルト教団労働教の最終目的である国民皆労働制を実施したいのであれば、勤労の義務に則って全国民を労働に従事させるような法律を作ればいい。そうすれば、「働いてねぇてめぇは無法者だ、犯罪者だ、バーロー」と正々堂々と罵声を浴びせることができる。

 

 おそらくそのような法律は、他の憲法の条文に抵触する可能性もあるし、多くの健全な人々により壮大な反対運動が展開されるだろうから無理だろうが、やはり夢の設定というのは、これ以上やったら鼻血が出て倒れるくらいが理想的で、無理も続けていれば無理ではなくなり、結果的に成長できると思うため、労働教徒の皆さんには是非とも頑張ってもらいたい。ってな感じで、やはりおれはまだ労働教のドグマから抜け出せていない。

 

 そして、カルト教団労働教急進派のように、労働を絶対視してしまうと、必ず自分を苦しめる結果に終わってしまう。なぜならば、この世はまじで諸行無常で、諸行無常のこの世界は、働いていても何らかの理由で無職になる可能性、いつかは働けなくなる可能性に満ち満ちているからで、となると労働を絶対的義務視すればするほど、自らが無業状態に陥った際に、己を違憲な存在、非国民であると錯視してしまい、自己嫌悪の度合いがその分強烈になってしまうからだ。最悪、不必要に心身を病み、不必要に自殺をしかねない。

 

 多くの人間は無業状態で死に絶える。であるならば、労働を絶対的義務視していると、不必要に耐え難い羞恥心と自己否定に苦しみ喘ぎながら死に絶えることになってしまう。そういうのはまじでバーローだ。

 

 労働自体を卑下するつもりは一切ないが、渡邊美樹のように労働を絶対視するのは極めて危険だ。

 

 他人を苦しめるだけではなく、自分をも苦しめてしまう。

 

 渡邊美樹が今どこで何をしているのか知らないが(ググる気もない)、自分を違憲な存在としてみなして苦しむことのないよう、一分一秒余すことなく働き続けられることを切に願う。まじで。

 

P.S.

Vtuber青髪ピピピfeat.黒髪ピピピさん、面白いで。