社会の窓際から

暇を謳歌したい。

スポーツ選手への幻想

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 暇を持て余していると、脳髄が腐る覚悟でテレビのニュース番組を見てしまうことがある。

 

 耳が腐る覚悟でその内容に耳を傾けてみると、どうやら最近スポーツ界の不正や腐敗が相次いでいるらしい。

 

 スポーツ界の不正や腐敗は極一部の人間にしか関係がなく、公共の電波を介して全国的に大々的に報道される価値は全くない。某スポーツ協会の会長の辞任が地震速報と同レベルの重要性をもって速報で伝えられる必要は全くない。それよりも庶民の生活により関係の深い銀行やその他企業、また公務員や政治家の不正・腐敗の方を粘着的に報道した方がためになる。メディアの不正や腐敗を粘着的に報じた方がもっとためになる。

 

 しかし、大手メディアは企業広告によって成り立っている。よって、メディアの上客である企業や、広告主になり得るような企業、利権を共有している一部の公務員や政治家の所属する組織を深く批判的に報道することはできない。そしてメディアに不正や腐敗があればこそ、広告主への利益につながるので、自己浄化など到底考えられない。

 

 稀に最低限の体裁を保つために何らかの形で批判するとしても、軽く触れるくらいで、その批判は最終的には「パンダの赤ちゃんが生まれました」というような浅薄な情報の大波に飲み込まれてしまう。

 

 メディアは人民が注目するような内容の番組を作り、多くの人間をメディア媒体にくぎ付けにしておき、タイミングを見計らって広告主の広告を視聴させ、あわよくば視聴者を思考の停止した浪費ロボットに仕立て上げることを使命としている。

 

 よって、メディアの最優先事項は視聴率ということになる。内容の真偽や濃度は関係なく、視聴率を稼げそうな番組を作り、広告主に貢献することに注力するだけだ。だから、ヤラセや誇大報道が絶えない。

 

 では、なぜ一般庶民にとって全くもってどうでもいいスポーツ界の不正が公共の電波を介してこうも長々と大々的に報じられるのかというと、その答えは単純で、メディア側の人間にその方が視聴率が取れる、大衆ウケすると思われているからだ。何としても視聴率を取らなければいけない状況下では、単純明快で確実に視聴率が取れると思われる情報が優先される。当然である。

 

 では、なぜ些末なスポーツ界の不正ネタがウケると思われてしまうのかというと、一般大衆が「スポーツをしている人間は勤勉で誠実で清廉な人ばかりである」とカルト的に思い込んでいるせいで、スポーツ関係者の等身大の人間的な汚さがより目立ち、耳目を引きつけやすいからだ。

 

 学生時代に運動部に所属していた人間であれば、少し思い返してみればわかるはずだ。運動部の不健全さを。あの泥沼を。あの餓鬼界を。

 

 レギュラーを獲得するために、狡猾で自己顕示的でなくてはならない世界。妬み、嫉み、恨みとは無縁ではいられない世界。人為的な不条理がなくはない世界。ライバルや対戦相手の怪我や退場や没落を願ってしまう世界。出し抜き合いの日々の世界。

 

 思い出して欲しい。今年のワールドカップの日本対コロンビア戦を。

 

 試合開始数分後にコロンビアの選手が退場になり、日本代表は大手を上げてあからさまに喜んでいたではないか。

 

 風の噂で聞いたところによると、世界で一番罵声を浴びせられる職業はスポーツの審判らしく、では誰が罵声を浴びせているかというと、神聖なはずの選手と愚衆たちだ。

 

 上記のことから容易に想像がつくように、実際、大半のスポーツ選手は「スポーツマンシップ」という言葉から想起されるような高尚で公正で健全な精神性をもった人間では全くなく、その精神性は実際には下劣な大衆と大差がない。もしくは激烈な競争に身を置いている分、ぬるま湯に浸かっている大衆よりも下劣であってもおかしくない。これが現実であって、そのことを知っていれば、元スポーツ選手の人間集団とも言える各スポーツ協会が、その他の民間企業と同様に腐っていたとしても、何も驚くことではなく、むしろ腑に落ちる。

 

 僕たち愚かな大衆は少しは賢くなって、スポーツ選手に対して無意識に抱いている理想的なイメージを捨てなくてはならない。でなければ、理想と現実のギャップから特異性が生まれ、視聴率の奴隷である大手メディアにつけ込まれて、どうでもいい些末なスポーツ界の動向ばかりを見せられるはめになり、低俗な報道と搾取的な広告で脳髄が腐ってしまう羽目になりかねない。

 

 大手メディアは大衆ウケを狙い続けなければいけないわけだから、メディアが報じる情報の質は視聴者=大衆の賢さに比例する。大衆が愚鈍であれば、些末な情報がウケると判断され、些末な情報ばかりが流れる。大衆が賢明であれば、本質的な情報がウケると判断され、本質的な情報ばかりが流れる。と思いたいが、大衆は愚鈍であり続けてもらった方が、経団連は貪欲に金儲けがしやすいのでそうはならないだろう。

 

 やはり僕たち大衆は愚鈍でなければならない。Stay foolishでなければならない。

 

P.S.

痒み止め塗ろうかな。